臨床実習につきもののレポート。あなたはもう取り組んでいますか?
臨床実習では、担当させていただいた患者さんについてのレポートを書くのが長年のお題。
もちろんそれがいまでも主流ですが、クリニカルクラークシップが広まってきた最近では、学生が自らテーマを考えてまとめるというのも増えていますよね。
なんにせよ、これを読んでいるあなたは、どんなふうにレポートを書いたらよいかで頭を悩ませているんじゃないでしょうか。
私も20数年前、担当患者6名(!)全員について、初期評価と訓練経過・最終評価(訓練効果の分析つき)をそれぞれまとめる、という異常な量のレポートに、睡眠時間を削られたものです。
ところで、あなたはレポートで一番大切なのは、その出来だと思っていませんか?
だとしたら、それは大きな間違い。
一番大事なのは、締め切りを守ることです。
この記事では、15年にわたって学生の指導をしている私すこみみが、臨床実習において最も大切だと思っていることのひとつであるスケジュール管理について、基本的な考え方とコツをお教えします。
これを読めば、実習指導者(バイザー)に「自己管理のできる学生だな」と感心されるようになれますよ。
読みたい場所にジャンプ!
期限を守るのは社会人の最低限のルール
決められた期限を守る。
これは社会人の最低限のルールです。
このルールを破った場合、たとえあなたの技術やレポートがどんなに優れていたとしても、評価を得ることはできません。これは冗談抜き。ホントのことです。
だから、レポート作成でいちばん大事なのは、
上手な書き方よりも、スケジュール管理。
これは管理職であるわたしが、部下のセラピストに対しても、何より求めていることです。
新人療法士の仕事の進め方のコツはこちらにまとめましたので参考にしてくださいね。
期限を守れない人は「自分の力量を把握できない」「優先順位をつけられない」「約束を守れない」といと思われます。
つまり、期限が守れないと、それだけで仕事のできない人というレッテルを貼られるのです。
一度このレッテルが貼られたら、はがすことはとっても大変。
だからあなたは、学生のうちから真剣にスケジュール管理、タスク管理と向き合う必要があるんです。
あなたが期限を守らないと指導者の予定まで狂う!
あなたが時間や期限を守らないと、実習指導者をはじめ、あなたに関わるほかの大勢の予定まで狂わせることになります。
学生として、社会人修行である臨床実習を受けるのであれば、これは必ず肝に銘じなければいけない、基本中の基本です。
実習指導者の一日を想像しよう
実習指導者は、あなたの指導をするほかに
大勢の担当患者のリハ
リハ記録
検査と評価
報告書やサマリー作成
カンファレンス準備
複数のカンファレンス
申し送り
訓練の立案と準備
委員会活動や会議
臨床以外の業務(事務処理)
研究
プライベートの家事や育児、介護など
など、多くの業務や作業を同時進行させています。
好きでやっている(と信じたい)仕事ですが、投げ出してしまいたくなるような、それこそ目の回るような忙しさです。
この日常に、あなたのデイリーやレポートの添削、指導計画の立案、指導計画についての上司からの指導などが加わるわけです。
指導者が自分の仕事に戻れるのは、あなたを帰宅させた後ですから、大変です。
あなたが期限を守れないとどうなる?
あなたが期限を守れなかったり遅刻をしたりすると、指導者は自分が困るだけでは済みません。
あなたの見学をお願いしていたスタッフや患者さんに謝ったり、スケジュールを組みなおしたりしなきゃいけないんです。
だから、約束を守れないで迷惑をかけるようなことは絶対にしてはいけません。
レポート期限を守るためには「巧遅より拙速」!
これは「巧遅より拙速」ともいいます。
つまり、どんなに素晴らしい出来のものでも、遅く出しては意味がない。拙いものでも期限を守って出す方がいいんだよ、ってことです。
学生のレポートって、どんなに優秀な学生のものでも、まあまったく手直しなし、という結果にはなりません。それは当たり前。
ということは、少しでも良いものを見せたいと思ってギリギリまで粘ったり提出が遅れたりすれば「巧遅」どころか「拙遅」になってしまうわけです。
それなら、期限を守って提出して迷惑をかけないのが一番です。
そのうえで指導を受けて修正し、また期限に間に合うことを最優先して提出する。これが結果的にいちばん効率は良いし、あなたも、さらには指導者も疲弊しない方法です。
もちろん、あまりにも稚拙な内容なのはどうかと思いますが、がんばって精一杯のことをしたなら、潔く指導者にとっとと提出して審判を仰いでしまいましょうね!
さっきも書きましたが、就職後なら、約束を守れない人はほかのルールも守れない人、と思われて、責任ある仕事を任されることもなくなっていきます。
そんな人にならないように、今から期限を厳守する習慣をつけていきましょう。
迷惑をかけず自分も楽になる、スケジュール管理の方法
社会人として仕事をするなら、どんな職種でも行わなければいけないのがスケジュール管理です。
スケジュール管理とは
スケジュール管理とは、仕事や勉強が予定通りに終わるよう、作業の計画や修正を繰り返すこと。
と思うかもしれませんが、私の周りにはスケジュール管理の下手な人が、本当にたくさんいます。
- スケジュールが立てられない
- その仕事を終えるまでに必要な作業工程を分析できない
- スケジュールを立ててもほっぽりっぱなし
- 途中で見直して修正することができない
- ぎちぎちのスケジュールしか考えてなく、突然のリスクで失敗する
などが、スケジュール管理に失敗する原因です。
あなたはいくつ当てはまる?スケジュール管理チェックリスト
スケジュール管理ができるようになるためには、自分のスケジュール管理能力を知っておくことが肝心。
そこでおすすめなのが、このチェックリストです。
- 自分の予定はスケジュール帳(スマホ)に記入している。
- 毎日スケジュール帳(スマホ)を見て、その日の予定を確認する習慣がある。
- 課題(仕事)が出されたら、提出期限(締め切り)を確認して記入している。
- 忘れずにもっていく必要のある「もち物」などの情報を記入している。
- 誰かとの待ち合わせや約束の日時・場所をスケジュール帳に記入している。
- 定期試験の勉強計画を立て、いつ何をやるか日時を決めて記入している。
- 予定している日から逆算して、準備などの計画を立てて記入している。
- 行動に必要な時間を予測して、ゆとりのあるスケジュールを立てている。
- 予定の変更があった場合はすぐ見直して、新たな内容を更新して記入している。
- やるべきことの優先順位を決めて計画を立てている。
PT・OTのための これで安心 コミュニケーション実践ガイド,第2版:山口美和,医学書院,2016.
チェックがたくさんついている方が、スケジュール管理が上手にできているということになります。
あまりチェックがつかなかったあなた。
いつもぎりぎりになってあわてて提出物を用意しているのではありませんか?
いずれにしても、チェックがついていない項目をできるようにすることが、あなたのスケジュール管理能力を高める事につながります。
弱点を洗い出すことは成長への第一歩。
目を背けず、正直に自分の傾向を受け入れてくださいね。
スケジュールは逆算して立てよう
スケジュールを立てるときに最も大切なポイントは
逆算して考えるということです。
逆算してスケジュールを立てるための主なポイントはごらんのとおり。
提出期限や締め切りを、時間も含めてきちんと確認する(提出当日には何もできないと考えた方が安全)
提出するときに何が完成している必要があるのかを確認する
どのレベルまで完成されている必要があるのか確認する
どんな形式で提出するのかを確認する(データか紙ベースか)
提出までの間のイベントを確認する(研修会や飲み会など、作業に影響を与える予定)
自分の心身の状態を客観的に把握する
完成を妨げるリスクをチェックする(インクや文具の在庫、文献収集など)
スケジュールは見える化して、バイザーにも見てもらう(安心してもらえるし修正もしてもらえる)
どの時点で報告し指導を受けるのかをバイザーと決める(複数回のほうが良い)
これらをしっかりやって、それでも起こりうる想定外の事態にも対応しつつ、締め切りに間に合わせる対策を考えておかないといけません。
自分の能力は低めに見積もり、そのうえで100%の力が出せる状態ではないこと(疲れ切ってるからね)もちゃんと計算に入れて、余裕をもってスケジュールを立てましょう。
スケジュールを立てたら「進捗管理」する
スケジュールを立てたら、もちろんそれにしたがって作業を進めていきます。
そしてつねに、予定通り進んでいるか、予定通り進めるために無理をしていないか、指導者に進み具合を報告して、修正が必要でないかどうかを確かめていきましょう。
ポイントの一番下にも書きましたが、報告のタイミングとなるマイルストーンを設定することも、とっても重要。まとめて一気に見せると、あなたが方向性を誤っていた時に修正が大変です。
実習中のあなたは、カラダもココロも思った以上に疲れます。これはもう、どんなに良い指導者にあたってもそうなるんです。
だから、自分を大切にして、ちゃんと休めるスケジュールを立てて進めていきましょう。
まとめ
スケジュール管理ができるようになると、不安を感じることが少なくなります。
前倒しで作業を終えることも可能になるので、落ち着いて見直しもできるし、バイザーに負担をかけることも減るからです。
- レポート作成で最も重要なのは、書き方よりも締め切り厳守!期限を守るのは社会人の最低限のルール。
- あなたが期限を守らないで予定が狂うと、バイザーが患者さんや関係者に謝ることになる。
- どんなに粘っても完成度には限界がある。それなら「巧遅より拙速」で指導を受けよう!
- スケジュール管理のキモは「逆算して立てる」こと。いろいろなリスクを想定して、余裕あるスケジュールを考えよう。
- 進み具合の報告をどこでするかはバイザーときちんと決めて。マメな報告はお互いの幸せにつながる!