理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のリハ職学生に限らず、医療系の学生のあなた。
就活で大切なのって、専門的な知識の豊富さや、どんな専門職になりたいか言えることだけじゃないって知ってましたか?
そこでこの記事では、入りたい病院や施設が見つかったなら絶対にチェックしておくべき基本理念についてお話しします。
正直なところ、どんなに優秀だった学生でも、職員としてはすぐに特別な存在になんてなりません。
あなたより専門的スキルの高いスタッフは現任者にたくさんいるんだから。
ではどうすれば、希望する病院から”入ってほしい”と求められる存在になれるのか。
基本理念を知っておくことは、この部分、つまり採用に大きく関係してきます。
この記事を読めば、あなたがこれまで話したことのない病院トップや採用担当の考えがわかるようになり、就活だけでなく入職してからも。ほかの人より1歩先を行くことができますよ!
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就職するってどういうことか、よく考えてみよう
PT・OT・STの学生だけでなく、医療系の学生によくあることで私がとっても気になっていることがあります。
それは「専門職になるという意識 > 組織の職員になるという意識」でいる人が多いということ。
専門職になることを目標に頑張っている人がもちろん多いと思うし、なにより実習にパスすること、そしてその後国試に合格することも大変。
だから、就活の時点ではその意識が強いのは当たり前といえば当たり前なんですが…
なんていうのかな、一般企業への就職を目指す学生に比べて、医療系の学生って就活先に対する研究が足りない気がします。
あなたはどうですか?
ちゃんと就活先を研究しているって、胸を張って言えますか?
あなたはただ理学療法士や作業療法士になるわけではないんです。
経営組織に所属することになるのです。就職するってことは。
就職して仕事をするつもりなら、ただ専門の仕事がわかっていたり、職業への熱い思いがあるだけだと、ちょっと物足りないな、とわたしは思っています。
だって、そんなの当たり前だから。プロなんだから。
一般にも売り手市場の現在、医療系の学生もあまり就職自体には苦労しないでしょう。
だけど、どうしてもこの病院に勤めたい、という希望がある場合、あなたはほかの就活生と競って、数少ない椅子を争わなければいけないんです。
となると、当たり前の学生でいたら、あなたは周りの学生に勝てないかもしれませんよね。
本当に好きな所で、自分の力を伸ばしていきたいと思うなら、就職するってどういうことなのか、そのためにあなたは何を考えておくべきなのか、もう一度見直してください。
就活するなら「基本理念」を知っておこう!
さて、就活するなら絶対に押さえておきたいのが、今回のテーマである、就職したい病院や施設の「基本理念」です。
基本理念とは「その組織が大切にしていること」
基本理念を辞書で引くと、基本理念とは
組織がその根本に据える理念や目標、思想のこと。
引用元:実用日本語表現辞典
とあります。
基本理念とはつまり、組織(この場合は病院や施設)が、経営をしていくにあたり大切にしていること、譲れないことをさすんですね。信念、といってもいいでしょう。
なんで知っておく必要があるの?
採用においては、あなたがその組織の目指すものをきちんと理解して仕事してくれる人なのかどうか、経営陣や採用担当者が判断するための大きな材料になるからです。
たとえば、面接でよく聞かれる質問「あなたにとって仕事とはなんですか?」や「あなたの職業観を教えてください」に答える時。
あなたは自分の思いや熱意をただ語ればいいわけじゃないんです。
重要なのは、あなたの熱い思いを、その病院や施設の基本理念や、基本理念に沿って行っている業務内容にどれだけつなげて語れるかということ。
その病院や施設のたとえば理学療法士の仕事を挙げて同じようなことがしたい、なんていう小さな範囲のことではなくて(そう、それはとっても小さな範囲のことです)、病院・施設の経営陣がどう考えたから理学療法士がその仕事をすることになったのか、というところまで想像できたらGOOD。
そのうえで、自分ならここでこう働きたい、とまで答えられればなおよし。
そのためには、基本理念は絶対に知っておかなきゃいけないことなわけです。
しっかりした病院・施設なら基本理念を掲げている!
たとえば誰もが知っている大企業の場合、公式ウェブサイトには必ず大きく基本理念について書かれたページがあります。
経営トップの方が、基本理念についてのメッセージを発信していることも多いです。
実は、組織が経営を行う上で、理念は欠かせません。
なぜかというと、一般企業であれ病院であれ、経営を行う組織は、その目標を達成するための具体的な戦略を、基本理念に沿って立てているからです。
そして組織は、その戦略を進めるための事業計画というものを3~10年という中長期で立て、さらにそれを1年ごとの事業計画に落とし込みます。
病院や施設はボランティアで医療や福祉を提供しているのではないので、運営を続けていくためには収益を上げなければいけません。
そして収益があるからこそ、あなたのお給料も支払われるんです。
あなたが就職すれば、あなたが配属される部署の「年間目標」というものを教えられるはず。さらに、目標管理制度や人事考課制度を取り入れている病院であれば、組織や部署の目標に沿った個人目標を立てて仕事することを求められます。
しっかりした組織であれば、基本理念を明確に掲げており、それが事業計画や目標、職員の行動基準に反映されています。
基本理念は、採用試験を受けようと思っている組織がしっかりした土台を持っているかどうかを知るために絶対に無視できないもの、ということを覚えておきましょう。
基本理念ってどこを見たらわかるの?
最近は病院においても広報活動、特にWEBを使っての広報をとても重視しているので、基本理念を掲げている組織であれば、WEBサイト、つまりホームページに必ず掲載されています。
WEBサイトの「法人紹介」や「法人概容」などを探せ!
WEBサイトのトップページに行き、メニューの中から「法人紹介」や「法人概容」などを探しましょう。
目立つようになっていなくても、PCならフッター(ページの一番下の部分)にはあるはず。
スマホからモバイル用サイトを見る場合も、ていねいに探していけば必ず見つかります。
基本理念自体はスローガンとして短いフレーズや文で出ていることが多いので、それだけでは意味がわかりにくいこともあります。
そこにある経営トップ(理事長や院長)のメッセージや、基本理念に基づいて立てられたミッション(使命)や活動(業務)を読んで、理解してください。
読んでも意味がよくわからなかったら…?
基本理念は、誰が読んでもよくわかるものであるほうがいいので、わからないものってどうかとも思いますが…
その病院で働いているスタッフに聞くのが一番。
実習でお世話になった病院・施設への採用を目指すなら、実習指導者に質問すればいいのです。
基本理念を知ったらどうすればいい?
基本理念を見つけたら、まずは就活ノートに書きだしましょう。
そして、先ほど書いたように、自分が考える「働く」ということと並べ、そのふたつを結びつける作業をしてみて。
ふたつに接点が見つかれば、やっぱりその病院・施設はあなたにとって目指すべき組織ということ。
立派なことである必要はまったくありません。
新人医療従事者であるあなたが与えられる権限(やっていいことの範囲)なんて、とても小さいのですから。
毎日地道に、着実に行う仕事によって、患者さんをこんな風に助けたい、地域の人にこんな風に喜んでもらいたい、という夢を語れればよいのです。
まとめ
働くということは、自分の達成感だけのためにあるのではありません。
あなたと組織、どちらもHAPPYになれる、いわゆるWIN-WINの状態を目指す。
それが働く、ということなんです。
基本理念をしっかり勉強して、組織のために自分は何ができるのかを考えること、そしてそれを採用試験でしっかりアピールできること。
それができれば、あなたは確実に”うちに入ってほしい”と求められる存在になれるでしょう。
- 就活で大切なのは、専門的な知識の豊富さや、どんな専門職になりたいか言えることだけじゃない。
- 希望する病院や施設などの組織から「欲しい」と思われる人材になり、相思相愛の関係になるためには、その組織の「基本理念」を押さえよう。
- 基本理念とは、その組織が最も大切にしている信念。事業計画や年間の目標、職員の行動基準もすべて基本理念がベースになる。
- 就活の際はWEBサイトでその組織の基本理念を調べ、自分の仕事に対する考え(職業観)と結びつける作業をしよう。