あなたは経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)の「就活ルール」をご存知ですか?
ニュースで聞いたことくらいはあるでしょうか。
経団連が定め、企業にそれを守るよう要請している、就職活動のスケジュールに関するルールです。
2018年9月、経団連の中西宏明会長は、このルールを、現在の大学2年生が対象となる2021年度卒の採用から廃止することを表明しました。
といわれても、リハビリ学生であるあなたには、ピンとこないかもしれませんね。
そこでこの記事では、
就活ルールって何?
今のリハビリ学生に関係があるの?
就活ルール廃止は2021年卒のリハビリ学生に関係するの?
ということについてお話しします。
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経団連の就活ルールとは
ものすごく簡単に言うと、経団連の就活ルール(採用活動の指針)とは、
学生が就職活動に時間を取られずに学業に専念できるよう、経団連が企業に
対して「採用に関する動きを始める時期について配慮してね」と要請している
というものです。
これに基づいて、現在は
というように、企業側が採用に関係する活動を開始する時期について示されています。
ルールはあるけれど、これはもともと経団連の会員である大企業同士が結んでいる「紳士協定」(簡単に言うと”暗黙の了解”)。
だから、会員ではない外資企業や中小企業には当てはまらず、また、守らなかったからといって罰則もないことから、形骸化しているのではないかといわれてもいます。
広報活動とは、説明会やパンフレットの作成、自法人ウェブサイトや就職情報サイト、SNSへの採用情報の掲載など、就活生に向けておこなう活動のことです。これを行うことで採用側と就活生とのミスマッチが防止できますし、採用側も欲しい人材を採用できるといわれています。
就活ルールってリハビリの学生に関係あるの?
先ほど書いた通り、本来は経団連の会員に向けたルールなので、あなたが就職する病院や施設はまず関係ありません。
ですが、厚生労働省もこの件については
としています。
各病院・施設がどうしているか正確に把握していませんが、私の所属する法人でいえば、無視できないものとして、配慮しています。
しかし、病院は中小企業の規模のところがほとんどです。したがって、経団連の就活ルールの対象ではありません。
そもそもリハビリの学生に関しては、9月いっぱいは臨床実習が入っていることがほとんどなので、就職説明会自体、夏まで行われないですよね。
学校主催の説明会も7月の後半ごろからぼちぼち始まり、最も多いのは9月、といった感じ。あなたの学校もそうだと思います。
それをわかっているので、リハビリ職種については、採用側もそのタイミングに合わせるほうが重要です。
就活ルール2021卒から廃止?影響は?【随時更新】
今回の経団連の中西宏明会長の発言は、ニュースでも大きく、再三取り上げられ、かなり波紋を広げているのがわかります。
ここでは、就活ルールに関する最新情報を随時更新していきます。
2021年に卒業・就職する学生から変わる?
今回の変更は、2018年現在の大学2年生、つまり2021年春に就職する学生から適用される、といわれています。
もしそうなると上の図のように、今は3月から広報活動、6月から採用選考、となっているものがまったくなくなってしまい、予定が前倒しになってくる、ということが考えられます。
ただし、この件は、そもそも学生の学業への影響を考えて現在の形になったものを否定することにもなるので、学校側からは反発があります。
【9/22最新】政府が仲立ち!採用日程は当面維持で議論の方針
2018年9月21日、政府が仲立ちになって、新たな就活ルールについての議論を始める方針である、というニュースが流れました。
採用ルール変更に対する経団連(つまり大企業)・大学・中小企業・政府それぞれの考えは…
- 経団連・大企業・・・外資やITの採用は早く、良い人材が取られる!新卒一括採用・終身雇用前提では海外企業との競争に勝ち抜けない!
- 大学・・・就活が早まる一方で学業に支障が出る!今のままにしてほしい
- 中小企業・・・採用活動は大企業の後から。ますます学生が採りづらくなる!
- 政府・・・学生の不安は解消したい。経済界・大学の関係者による協議会を作るので話し合いを!
上のポイントからわかるように、それぞれの立場での主張があるのを政府が何とかまとめようとお膳だてをしています。
2021年春の採用からの廃止については慎重論が根強いため、現行日程のまま(採用活動は6月1日から)という見方が強まっていますが、今後、
- 高い専門的能力をもった学生はますますITや外資に流れていくかも。
- 「一括採用してまとまった数を効率的・効果的に育成する」「終身雇用」という日本型の雇用は、見直されていくかもしれない。
- 就活ルールが廃止されると「インターンと採用活動を結びつけない」とのルールもなくなるかもしれない。
などの見方も論じられていることは忘れないでおきましょう。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士養成校への影響は?
これはまだわかりません。
あなたを採用するはずの病院・施設もまだ様子見の状態に違いありません。ただ、先ほど書いたように、臨床実習との兼ね合いが、リハビリ専門職の就活には一番関係するところであること、病院は経団連に所属する大企業とはちがいますから、学校側がすぐになにか影響を受ける、ということはないように思います。
でも、今後の動向には注目しておきましょう。
就活ルール改定?に関するまとめ
- 経団連会長が、現在の3月広報活動開始、6月採用選考開始の「採用活動の指針」をなくす意向を表明しました。
- 「採用活動の指針」は経団連会員同士が出し抜くことを避ける「紳士協定」ですが、会員以外も、現在もちろん意識していると思われます。
- もしこの通りにルールをなくすならば、2021年卒業の現在の大学2年生から、これにそって採用活動が行われるかもしれません。
- しかしこれを受けて、やはり大学や中小企業からの反発がありました。この分だと、6月選考開始に変更はないかもしれません。
- 政府はそれぞれの仲立ちとして議論の場を設定していく方針です。
リハビリの学生であるあなたには「関係あるようなないような…」という問題かもしれませんが、時事問題でもありますし、ぜひ関心を持って情報収集してみてくださいね。