実習中に風邪?もしやインフルエンザ?と思ったら、たとえ明日が発表日であっても、あなたは必ず臨床実習指導者(バイザー)に電話をして、場合によっては休むようにしなければいけません。
なぜならあなたには、医療従事者として、患者やほかのスタッフの健康を守る義務があるからです。
あなたは今、休むなんてことをしたら、成績がつかないかもしれないし、バイザーに悪い印象を与えてしまうかも…とますます具合が悪くなりそうなほど、悩んでいるんじゃありませんか?
でも、この記事を読めば、あなたが休まなければいけない理由がわかるはず。
先のことを考えるともちろん不安だと思います。でも、あなたは医療従事者。
こんなときは、自分のことよりもまず、患者や病院のことを考えなければいけません。
今しなければいけないことを正しく理解して、電話連絡や受診など、今のあなたがすべきことをきちんとやりましょう。
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実習中に具合がわるくなったらどうすべき?
実習中はどうしても睡眠不足になったり疲れがたまったりして体調を崩しやすくなりますよね。
わたしも6週間×3期の実習が終わったとたん、疲れから熱発した記憶があります。
あの頃はまだ、どちらかというと「無理してでも出てこい」(わたしのバイザーはそんないじわるな人ではありませんでしたが)という風潮があったように思うので、あれが実習中だったら、フラフラになりながら実習に出て行ったかもしれません。
なぜダメなのか、そしてどうしたらよいのか、きちんと説明しますね。
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どうして休まなければいけないの?
答えは簡単。患者や職員への感染を防止しなければいけないからです。
風邪やインフルエンザは接触感染や飛沫感染でうつるもの。
感染しているあなたが病院に行って、患者さんの近くに寄って話をしたり、ウィルスのついた手でドアノブや病室のカーテン・リネンなどに触ったりしたら…
あなたより確実に免疫力の落ちている患者や、あなたより数多く患者に接触する看護師や介護福祉士が、あなたの触ったものを通して感染することになります。
そうした事態を防ぐために、インフルエンザ、感染性胃腸炎などの感染症が疑われるときには、直ちに休まなければいけないのです。
熱発したら家を出るより先に電話。実習先に行っちゃダメ!
インフルエンザの場合、熱発してから24時間経過しないと、検査をしても反応がでません。
プラスかマイナスかわからない間も、感冒症状があるなら、まず出てくることは許されないでしょう。
だから、のどの痛みや咳、鼻水、熱があった場合は、自己判断で勝手に出ていったら絶対にダメ!家を出る前にバイザーに必ず電話してください。
バイザーへの電話はどうしたらいい?
バイザーに電話するときには、タイミングや報告する内容など、押さえておくべきポイントがいくつかあります。
なぜなら、体調不良で休みたい、という電話は、バイザーにとっても、いろいろな判断を必要とする、ストレスのかかるものだからです。
ここを読んで電話を正しいタイミングでかけ、必要なことを落ち着いて伝えられれば、バイザーも冷静に対応してくれて、あなたの不安も少なくて済みます。
ここに書いたことをメモして、深呼吸してから電話してみましょう。
電話をかけるタイミング・時間帯はいつがいい?
一番悩むのが、バイザーに電話するタイミングだと思います。
次の注意点を確認して、今の自分の状況にあったタイミングで電話しましょう。
- 前日夜に、すでに怪しいなと思ったら…
- わかった時点ですぐ電話。
- でも、どんなに遅くても、マナーとして固定なら21時、携帯でも22時までにしましょう。バイザーが子育て中のパパママなら、就寝時間は早いです。
- あなた自身も早く寝ること。その時点で具合が悪いなら、次の日は出勤停止の場合が多いです。だからレポートやデイリーはやらない!心配なら、連絡したときに延期でよいか確認しましょう。(もし私がバイザーなら「そんなのいいから早く寝て!」といいます)
- 当日朝になって「あれ?調子悪い?」となったら…
- バイザーの出勤中に電話しないように気をつけて。車なら事故のもとだし、電車なら迷惑です。
- 支度の忙しい時間帯も避けましょう。子供のいるバイザーなら戦争中です。
- バイザーが確実に出勤していそうな、始業10分前くらいが適当。
- もしまだ出勤してなければ、バイザーの上司につないでもらい、一報をいれましょう。
電話で伝える内容は?
ただでさえ苦手な目上の人への電話でしょうが、こんな時こそ、身体がきつくてもきちんと電話をかけましょう。
電話をかけたらバイザーには次の点を伝えましょう。
- 体調が悪いこと
- 熱があるかどうか
- 症状(鼻汁・のどの痛み・咳・身体のだるさや痛みなど)
- 症状がいつから出たか(すごく重要!)
- 受診したかどうか
そのうえで、どうすべきか指示を受け、素直にその通りにしてください。
そして、症状が出てから24時間経ったらあらためてきちんと受診し、判定を受け、その結果も電話でバイザーに知らせましょう。
電話のやり取りはこんな風にしよう!
具合が悪いなか、緊張しながらかける電話で失敗するのは嫌ですよね。
あなたがまだまだ大人との電話に慣れていないのなら、不安でたまらないでしょう。
そこで、上に書いたことを踏まえて電話をかけるときのトーク例をお教えしますね。
このとおりに話せば「つらい時なのにちゃんと対応できてるな」と思ってもらえますよ。
朝、病院の代表番号にかける場合の導入
ここから先はバイザーとの会話です…が、部署に電話をつないでもらったときに、違うスタッフが出ることもあるはず。その場合は上のやり取りを繰り返せばよいでしょう。
バイザーが電話に出た場合(携帯で直接のときもここから)
こんな感じです。
挨拶やクッション言葉などの電話のマナーは、身体がきつくてもちゃんと使いましょう。
普段から使って、いざという時に自然に口にできれば最高です。
そして、こちらから「お休みさせてほしい」とはっきり申し出るほうがわたしは良いと思います。忙しい時に「どうしたいの!?」と思わせない方がいいからです。
具合が悪い中で検査を受けにいくのはつらいことだし、お金もかかるのはお財布にも痛いこと。ですが、これは医療従事者としてしなければいけないことです。
それに、受診して陽性だったら、抗インフルエンザ薬も出してもらえて楽になります。
インフルエンザなら、学校にもすぐ連絡しましょう。
あ、もちろんその時は学校にも電話を。
数日休まなければいけない場合は、先生のほうから実習地に連絡を入れてくださることが多いです。
こんなケースでは、バイザーも出席日数や成績のつけ方などについて学校と相談したいと思うので、身体がきつくてもそこまではしてくださいね。
こんな時、連絡すべきところにきちんと連絡できるかどうかは、学生・社会人としての態度の評価にかかわる大切なこと。
具合が悪いと判断も鈍りがち。だからこそ、こんな時は報連相をきちんと行い、目上の人の判断を仰ぎましょう。
いつまで休まなければいけないの?
さて、もしインフルエンザだと診断されたら、いつまで休まなければいけないのでしょうか。
大人の場合、法律で休みの日数が決まっている子供と違って、明確な法律というものはありません。
ですが、感染症対策チーム(インフェクションコントロールチーム:ICT)を設置している病院であれば、職員の感染時のルールを決めているはず。
実習中の学生も、学校ではなくその病院のルールに従わなければいけないので、連絡を入れたときにきちんと指示を受けてくださいね。
ただの風邪だった場合も、インフルエンザの流行期だったら、実習先によっては同じように休ませる場合があります。
メールで連絡しちゃいけないの?
具合も悪いし、緊張もするし、タイミングも分からない。
バイザーへの連絡をメールで済ませてはいけないの?と思う人もいるでしょう。
最近の若いバイザーなら「メールでもいいよ」というかもしれませんが、基本的に、実習中のバイザーへの連絡はメールでなく電話で行いましょう。
なぜかというと、今回の場合は、その場で指示をもらう必要があるからです。
ちなみに、LINEでのやりとりはやめた方が無難です。
さらに、学生とバイザーが異性同士の場合、あまりメールやLINEでのやり取りはしない方がいいんじゃないかな…と思います(それについてはまたおいおい考えましょう)。
でも、今これを書きながら検索をかけてみると「大学の欠席メールの書き方」とか「研修医の医局へのメール」みたいな記事が多くてびっくりしました。
ただし、メールを送るなら、ビジネスメールのマナーをマスターしておく必要がありますので、気をつけてくださいね。
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医療従事者なら感染管理の意識を持とう
あなたがどんなに困っても、感染症にかかればルールに従って休まなければいけません。
なぜなら、あなたは、卵とはいえ医療従事者。プロとして、感染管理の意識をもって行動しなければいけないからです。
感染が拡大したら、病院がどうなるかわかりますか?もしまだ知らなければ、ここを読んで確認を。知っておけば、就職したあとも必ず役に立ちます。
医療従事者としての感染管理意識を、今からしっかり育てておきましょう。
症状が軽いから休まなくてよさそう、と自己判断してはダメ
インフルエンザであっても、あまり高い熱が出なかったり、症状が軽かったりすることがあります。
でも、ダメなものはダメ。
決めるのはあなたではなく、実習先です。
この先も、働く限り、あなたは所属している先の規程に従わなければいけません。
自己判断は大人の世界では通じないことをよく理解しましょう。
こればかりはあなたの単位より患者と病院が大切。
このブログでは、わたしは学生の気持ちをとても大切にしたいと考えています。
でも、感染管理に関しては、あなたのことより患者と病院のことを優先しなければいけません。
具合が悪くなったのは不運としか言いようがなく、本当にかわいそうなことです。でも、あなたは医療従事者として、院内における感染の拡大を防がなければいけないんです。
実習の合否や再実習などについてはとても気になるところでしょうから、学校によく相談してくださいね。
日本看護協会のWEBサイトには、病院職員の感染予防や健康管理について詳しく書かれています。学生についても触れていますので、参考にするとよいでしょう。
感染が拡大すれば病棟閉鎖も。
単位を落としたら大変だし、ちょっとくらいなら大丈夫だろう…と出勤してしまったらどうなるかわかりますか?
あなたはウィルスをあちこちにつけて回ることになり、結果、免疫力の低下した患者や、多くのスタッフを感染させてしまいます。
そうなれば、
患者はリハを休まなければいけない(リハが停滞する)
出勤停止の職員の影響で他の職員の出勤負担が増す
スタッフの数が減れば、患者全体に提供できるリハの単位数も減る
患者・職員に抗インフルエンザ薬の予防投与をする(多くの場合、患者への予防投与は病院負担で行う)
発症した患者・感染の可能性のある患者は、一定期間個室管理に変更(病院負担)
病棟から別の病棟への拡大を防ぐため、患者に行動制限を加える病棟閉鎖の状態に。最悪、病院閉鎖という状態になることも。
面会制限の強化。家族であっても面会できないことも。
ということが考えられます。
病気を治したり、リハを集中して行ったりするために入院しているのに、新たな感染症にかかったり、リハを休まなければいけなかったりしたうえにご家族にも会えない。
大変なストレスだと思いませんか?
しかも場合によっては、病院の経営にも影響を与える場合も考えられます(健全な経営をしている病院なら、こうしたリスクも想定していますが…)し、なにより「感染拡大を起こした病院」として、信用が下がるかもしれません。
あなたが甘い考えで実習に行けば、患者・家族には身体的・心理的負担を、そして病院には経営的・信用的なダメージを与えることを、絶対に忘れてはなりません。
健康管理で風邪やインフルエンザを防ごう
ここまで結構厳しい現実を書いてしまいました。
病気で弱っているあなたが読んでいるとしたら、かわいそうなことをしたと思います。
ごめんなさい。
もしあなたが、幸いにもまだ体調を崩していない状態であれば、こんなことにならないで済むよう、食事や睡眠などの健康管理、手洗いやうがいなどの感染予防を怠りなくしておきましょう。
ただ、予防接種をして、マスクや手洗いもしっかりしていたのに、それでも感染することはあります。それでも、自分を責める気持ちは軽くなるはずです。
また、手洗いについては、自分で思っている以上に汚れは落ちにくいことを覚えておいて、しっかり洗うようにしてくださいね。
\ 療法士必携! /
まとめ
風邪やインフルエンザにかかってしまったときに、実習生のあなたが休まなければいけない理由や、いざという時の対処のしかたについて考えてきました。
あなたは医療従事者。
だから、自分のことだけでなく、患者や他の職員、そして病院のことを考えて行動しなければいけません。
無理をしてでも実習に行く、というのは昔なら普通にあったことですが、今は逆。
あなた自身の身体を守ること、患者や職員の身体を守ることを考え、正しく行動できるようになってくださいね。
- まずは自分のために、無理は禁物。這ってでも行く、なんて必要はなし。
- 具合が悪くなったら、家を出る前にまずバイザーに電話。病院には絶対行っちゃだめ。
- 電話をかけるタイミングは相手の生活を考えて。具合が悪くてもマナーは守ろう。
- メールではなく電話連絡を優先して。
- あなたが無理したために患者や職員に感染が拡大したら…ということを必ず考えよう。
- 普段から食べて、寝て、健康管理をしっかりしよう。
- 手洗い・うがいなどの感染管理は正しい知識と技術を身に着けよう。
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