臨床実習最初の難関といえば、実習がはじまる前に実習指導者(バイザー)にかける電話ではないでしょうか。
これからお世話になることを挨拶し、初日のことや実習中のことを確認するこの電話、口から心臓が出そうなほど緊張しますよね。
カチカチになってうまく話せないまま終わってしまい「実習でも緊張してうまくバイザーと話せないのではないか」と、不安な気持ちを引きずっていることはありませんか?
そんなあなたに、今回は実習初日までに不安な気持ちを立て直す方法をご紹介します。
実習までにはたくさんの準備をしなければいけないのに、気持ちを切りかえられずにつらい思いをしているのなら、この記事がきっと役に立つはずです。
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まずはいったん落ち着こう!
バイザーにはじめての電話をすると、緊張のあまり
しどろもどろになってしまった
質問されたのに頭が真っ白になって黙ってしまった
忙しいときに電話してしまって迷惑そうにされてしまった
うっかり受話器をガチャンと置いてしまった
といった失敗をしがちです。
これを読んでいるあなたも、似たようなことをしてしまったのかもしれませんね。
「どうしよう…悪い第一印象を与えてしまったかも」
「最初から学生としてのマナーの点数を低くしちゃったかもしれない」
と落ち込んだり焦ったりするかもしれませんが、
大丈夫。まずは落ち着きましょう。
どうしようどうしよう、と思っていると、どんどん不安は増幅します。
この不安から、あなたはいったん離れなければいけません。その方法は後でお教えするので、このまま読み進めてくださいね。
最初はうまくやれないのが当たり前
今回あなたは、はじめて「大人の職場」に電話をしたわけですが、それが最初からうまくいく人って、どれだけいるのでしょう。
はっきりいって、ほとんどいません。
それには現代の電話事情が絡んでいます。
今って、自宅で固定電話を使うこと、とても少ないですよね?きっとあなたのお宅でも、お父さんお母さんにかかってくる電話をあなたがとることは、ほとんどなかったはず。
それを考えれば、自分より目上の人との電話がほぼ未経験のあなたが緊張してしまってスラスラと話せないのは当たり前。だから今回の失敗をそこまで気に病む必要はないんです。
すぐには気持ちを切り替えられないかもしれませんが、ここではとりあえず、そんなに大した失敗ではないのだということを認識しておいてください。
実習指導者は学生の電話の失敗には慣れている
学生は皆、あなたと同じように、こうしたオフィシャルな電話をかけるのがはじめて。だから、バイザーは学生の失敗電話には慣れっこです。
しどろもどろになったり、言葉遣いを間違えたりしたことは、たしかにあなたにとっては大きな出来事かもしれません。
でもバイザーは、学生の電話なんてそんなもの、と思っています。よほど失礼なことを言ったのなら別ですが、そんなことはしていないんでしょう?
なら大丈夫です。バイザーは、おそらく10分後にはあなたの失敗なんて忘れてしまいます。だから、本当はあなたも忘れていいんですよ。
どうやったって機嫌の悪い人はいる
それでも、電話の向こうの声が不機嫌そうなまま電話が終わることがあるかもしれません。
そんな時あなたは「何か気に障ることをいって、怒らせてしまったのかも」と自分を責めていませんか?もしそうなら、それは間違いです。
どんなにあなたが頑張っても、それを認めてくれない人はいます。つまり、気に障ることをいってなくても、不機嫌になる人はいるかもしれない、ってことです。それはあなたのせいではなくて、その人自身の感情の問題なので、あなたにはどうしようもないこと。
そこを気に病むのは、はっきりいってムダ。
あなたは自分でコントロールできる、自分の電話の反省点について振りかえり、次に生かす。それだけすればいいんです。
それに、電話口で明らかに機嫌の悪い態度をとるなんて、大人の社会人がすることではありません。残念なことですが、バイザーすべてが尊敬すべき人格の人とは限らないので、マナーのなっていない人もいるのだな、と思っておきましょう。
初日までに気持ちを立てなおす5つの方法
ここまででお話ししたとおり、はじめての電話での失敗について、大きく気に病むことはありません。
ただ、そういわれても、クヨクヨと失敗を引きずってしまう人は結構います。
実はわたし自身、もともとちょっとした失敗を気に病んで引きずりやすいタイプなので、その気持ち、よくわかります。
そこでここからは、失敗を引きずっているあなたが、実習初日までに何とか気持ちを立て直すための方法を5つご紹介します。
point1 失敗を引きずるのは考え方のクセだと自覚する
失敗を引きずりやすい人は、なかなかその失敗をした場面を忘れられません。ふとした瞬間にその時のイメージがよみがえってきて、嫌な気持ちになってしいます。
できないことに注目してしまう人は自分を低く見積もりすぎ
あなたがもしそんな風になるなら、あなたには「できなかったことに注目しすぎる」「しかも、できたことは過小評価してしまう」という考え方のクセがあるんです。
このクセがある人は、失敗しないように一所懸命スキルを高めても「そんなことはできて当たり前」と思ってしまうので、いつまでも自信がもてず、失敗したことも忘れられません。
そうすると、自分のダメなところにばかり目が行きやすくなり、「やっぱり自分は向いてない」「自分はバイザーに嫌われてるんだ」とどんどんドツボにはまってしまいます。
反対に自分の良いところには目が行きにくくなるので、うまくいったことも「たいしたことではない」と低く評価するのです。
あなたは今そんな風になっていませんか?
こんな状態なのに「認めてもらわなくちゃ」とがむしゃらに頑張っても、自分でOKを出せるレベルには絶対に達しません。だって過小評価するクセがあるんだから。
これではいつまでも気持ちが救われず、きついままです。
成功体験を増やすんだ!と頑張る前に、失敗を引きずりやすいのは、自分の考え方のクセであることをまず自覚しましょう。
今はその失敗にじっくり向き合う必要はない!
この記事を読んでいるあなたは、もうすぐ実習が始まるか、もしくはもう始まっている、という人でしょう。
そんなあなたには、失敗を引きずりやすいという考え方のクセをしっかり変えていく時間も、気持ちの余裕もありません。
だから、今は自覚するだけで十分です。おそらく「クセなんだ」とわかるだけで、ほんの少しは楽になるから。
そして、自覚したら、ひとまずクヨクヨ悩むマイナス思考を止めましょう。つまり、問題をいったん棚上げにするんです。
「それができるなら苦労しないよ」というあなたに、point2では「いやな考えをいったん止めてしまう方法」をお教えしますね。
- 失敗を引きずりやすいあなたには「できなかったことに注目しすぎる」という考え方のクセがあることを自覚しよう
- 自覚したら、そのマイナス思考をいったん止める方法を身につけよう
point2 いやな考えはいったん止めてしまおう!
いやな考えが頭のスミに少しでも湧き上がってきたら
ストップ!!
と唱えると同時に、頭の中に大きくその文字を浮かべるんです。
なんなら口に出しても構いません。
ストップ!以外に、好きなアイドルや可愛がっているペットの名前を唱えるのでもOK。とにかく、いやな気分になりかけたら決まったことばを唱える、これがルール。
また、クールダウンできる色のもの(なんでもいいんです)を5カウントくらい見つめる、という手もおすすめです。
色については、大好きで気分が上がる色を避けて、その反対色を選ぶとよいそうです(と、パーソナルカラー診断でいわれました)。
私の場合は「青と白」なので、運転中なら道路標識を見るようにしています。職場ならたとえばコピー用紙の包み紙や本の表紙など、結構よく見かける色合わせですね。
不思議なことに、心を支配しそうになった黒いものがスーッと消えていくので、これもぜひやってみてほしい方法です。
さらに、女性なら、髪を結んでいるゴムをつかんでパチンと放すのもいいそうです(ただし、実習中ならそのあと手は洗った方がいいですね)。
とにかく、いやな考えが浮かんだ時にとる行動をルーティンにして、頭の中を嫌な考えが支配する前に現実に引きもどしましょう。
そして、今やっていることに集中すればいいんです。
- 「ストップ!」と唱える
- クールダウンできる色みのものを5秒くらい見つめる
- ヘアゴムをパチンとする
point3 否定されたのはあなたの「立場」だと認識しよう
そもそもあなたとバイザーは、まだ会ったこともないか、会ったことがあったとしても一回短時間話をしたくらいのはず。
そんな相手が、あなた自身のキャラクターを否定するわけはありません。だってあなたのことを知らないんですから。
バイザーがあなたに嫌な態度を取ったのなら、それはあなたの「学生」という立場に対してのものだと認識しましょう。
そのバイザーは、学生という弱い立場の相手に対して、日頃のストレスをぶつけただけ。
電話で不機嫌な態度をとられたら、それはあなたの「学生」という立場に対してされたのであって、あなた個人を否定されたわけではないと考えましょう。
そのほうがきっとずっと気が楽になります。
- あなた自身が否定されたのではない
- もし嫌な態度を取られたのなら、それは学生という「立場」をはけ口に利用されただけ
point4 「バイザーを怒らせた」という思い込みを捨てよう
そもそも、バイザーが不機嫌になってしまった、ということ自体、あなたの思い込みかもしれません。
電話だから表情を見たわけでもないし、バイザーが忙しくて心ここにあらずだった場合もあります。
口調が粗かったりそっけなかったりしても、それがあなたとの会話に原因があるかどうか、バイザーの考えを読み取ることなんて不可能に近いことです。
つまり、バイザーを怒らせたと「あなたが勝手に考えた」だけなのです。そう思えば、ずっと気が楽になりませんか?
もうひとつ大切なことですが、あなたが思うほど、実習地の人たちはあなたのことを気にかけてはいません。あなたは毎年たくさん来る学生の一人にすぎないのですから。
あなたも、他人の失敗について、いつまでもしつこく掘り下げて考えることなんてないですよね?それならほかの人だって同じです。
むりにポジティブにとらえる必要はありませんが、こんな風に、ほかの人の立場を想像してみるような柔らかい思考のしかたを習慣づけることは、これから仕事をしていくうえでも大切なことでしょう。
- 電話で話しただけの相手の考えなんて正確にはわからない
- バイザーを怒らせた、とあなたが考えているだけだと認識しよう
- あなたが思うほど、バイザーはあなたの失敗を掘り下げて考えてはいない
- 他の人の立場でも考えてみるような思考の柔軟性を身に着ける
point5 落ち着いて話せるタイミングで謝ってスッキリしよう
それでも、あなたの中で電話のミスが尾を引いているのなら、あなた自身のストレスをなくすために、実習初日のうちに謝ってしまうのもひとつの手です。
ただし、謝るタイミングはしっかり見極めましょう。
学生を受け入れる初日のバイザーは、いつも以上に忙しくなります。
そんな時に「先日は申し訳ありませんでした」といきなりきり出されても、「え?何?何のこと?いつのこといってるの?」とかえってイラつかせてしまうかもしれません。
だから、タイミングは大切です。
たとえば昼休みや、帰る前などの比較的落ち着いた場面がねらい目。さらにいえば、おなかの空いていないタイミングがベスト。おなかが空いていると、心にゆとりがなくなる人って必ずいますから。
実際、わたしも大切な提案やお願いをするときは、相手がおなかを空かせていそうなお昼前は避けるようにしています。これ、結構大切なので覚えておくと良いですよ。
今だ、というタイミングを見つけたら、
「実習前におかけした電話ではモタモタと要領の悪い受け答えをしてしまって、お忙しいときに申し訳ありませんでした」
という風に、簡潔に、自分が悔やんでいることを説明してお詫びを述べましょう。
たいていは「え?そんなこと気にしてないよー」といわれて終わりです。謝られて気を悪くする人もいません。
これはバイザーの機嫌を直すためではなく、あなたの心の負担を減らす作業です。だから、謝ったら、ミッションコンプリート!と思って、もう忘れてしまいましょうね。
まとめ
ただでさえ緊張MAXの実習前に、電話の失敗やバイザーの不機嫌な態度などで新しいストレスを抱え込んで、さぞつらい気持ちでいることでしょう。
でも、そのつらさは、もしかしたらあなたの考え方のクセや思い込みから来ているものかもしれません。
もしそうなら、相手になにも働きかけることもなく、スッキリ立ち直ることが可能です。
一番大切なのは、実習そのものに集中できる精神状態になること。
今回ご紹介した方法を試して、すこしでもさわやかな気持ちで実習初日をむかえてくださいね。
- 失敗を引きずるのは自分の考え方のクセだと理解しよう
- 失敗を引きずるマイナス思考を断ち切るためのルーティンを作ろう
- バイザーはあなた自身ではなく「学生という立場」に対応したのだと考えよう
- そもそも、バイザーを怒らせた、とあなたが思っているだけかもしれないことに気づこう
- どうしても気になるなら、実習初日の良いタイミングで謝ってスッキリしよう