ミスが続いたり要領が悪かったりが続くときって、何とかしようと思ってもなかなか抜け出せませんよね。
先輩や上司に迷惑をかけずに仕事を進めたいのに、報告書やプログラムの立案に時間はかかるし、やっと書いても赤が入ってやり直し、なんてなると、喉の奥がキュッと締まって、泣きたくなることもあるはず。
実は、新人療法士であるあなたの仕事が遅いのは、技術的な拙さだけでなく、仕事の進め方そのものに原因があることが多いんです。
専門職、療法士としての技術はそんなにすぐには上達しません。
でも、仕事の進め方については、コツを覚えることで改善させることができます。
工夫しないでがむしゃらにやっても仕事は減りません。
毎日が辛くなる前に、自分のやり方を一度見直しましょう。この記事のとおりに7つの方法を身につければ、どんどん仕事は面白くなりますよ。
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仕事が終わらないのは「進め方」を決めていないから
あなたは仕事が毎日終わらなくて「どうして先輩のように要領よくいかないんだろう」と悩んでいませんか?
その理由は、技術的な問題ではなく、ズバリ「仕事の進め方」を決めて動いていないからです。
専門職は「仕事の進め方」を軽視しがち。それはダメ!
そもそも新人療法士の多くは
養成校では、仕事の進め方なんて教えてもらえなかった。
今のあなた自身、専門的な技術を磨くことにばかり目が行っている。
学校の先生もあなた自身も、社会人としての仕事の進め方をちょっと軽視しがち。
本当はもっときちんと知っておかないといけないスキルを意識できていないのは、専門職らしいというか…偏りがありすぎるとわたしは感じています。
これからは、担当患者が増えるだけでなく、事務的な業務や委員会、研究や研修もどんどん増えます。
はっきりいって今のままでは絶対に仕事の効率はあがりません。
それどころか仕事の質も、上がるどころか下がる一方になるでしょう。
仕事の進め方を決めなきゃ、技術があっても仕事は終わらない。
先日、新人研修の最後に、わたしは新人たちに研修室の片づけをお願いしました。
それは、自分たちだけで仕事のプランを考え、実際にやってみて、それを評価する、といういわゆるPDCA(PLAN-DO-CHECK-ACTION)サイクルの練習として仕組んだこと。
これが担当患者のリハを進めるうえでも必ず行わなければいけない業務の流れであることは、あなたにもわかりますよね?
でも、彼らは見事に時間をオーバーし、自分たちだけでは研修室を元に戻すことができませんでした。
うまくいかなかった最大の理由。
それは、椅子を並べる、カギをかける、などの作業だけ考えて、それらをどう進めるか決めないまま、いきあたりばったりに始めてしまったからです。
リハでも掃除でも事務作業でも、すべての仕事は進め方を考えておかないと、スムースに終わりません。
どんなに技術が高くても、仕事の進め方を考えなければうまくいかない!
1.目標|何をどうするのかはっきりさせよう
どんな仕事をするときも、その仕事をどんな状態に仕上げることを求められているのか、考えることが第一歩。
さっきの研修室の片づけでいえば「研修室を元の状態に戻す」というのがこれに当たります。
最終的な目標をはっきりさせないままに作業をはじめると、しなくていいことまでするわ、しなきゃいけないことはしていないわで、後からいろいろと修正が必要になってしまいます。
いわゆる「木を見て森を見ず」の状態。これってものすごく無駄。
仕事をはじめる時は、最初に必ず「何をどこまで(どんな風に)仕上げればよいのか」を決めてください。
話はそれからです!
2.戦略|目標達成のためのシナリオ
戦略っていうのは、あなたが立てた目標を達成するためのシナリオ。
「戦」という字がつく通り、もともと戦争の総合的な準備や計画、運用をどうするか、そのやり方を考えるのが戦略。仕事の戦略でも同じ意味で使います。
リハ初期の進め方であれば、担当患者が入院してきたら、その方の情報や初日にとらえた全体像から、評価やリハの立案に必要な検査を選び、その中で優先順位をつけ、ほかの職種とも情報交換しながら無理のないスケジュールを考えていく、ということがこれに当たるでしょう。
片付けなら、元の状態にするためには何の作業から始めるのが良いのか、だれを号令役にするのか、どの作業に何人使うのが良いのか、などを考えるのが戦略だし、頼まれた研修会の資料の準備なら、何部をいつまでに刷るのか、ホッチキスでとめるのか、片面印刷か両面印刷かなどを確認して作業手順を考えることが戦略です。
仕事の成功は、この戦略がしっかり立てられているかどうかにかかっているので、必ず考えてください。
しかし多くの新人は、戦略を考えずに直接作業に飛んでしまいます。
そして片付けならば、机を先に並べてしまって、椅子が入らなくて全部やり直しとなったり、印刷だったら片面印刷にしなければいけないのに両面印刷にしてしまって印刷しなおし、みたいなつまらないミスをして、大幅に時間を食ってしまうことになるわけ。
一つひとつの検査や訓練、作業の技術がどんなに優れていても、戦略をないがしろにしたら仕事として完成しなくなるかもしれないことを忘れないようにしましょう。
3.作戦|戦略実現のための各作業のプロジェクト
戦略を実行するひとつずつのプロジェクトが「作戦」です。
リハ全体の目標のために理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がそれぞれすることが各作戦。チームのリーダー(たとえば医師)は、全ての作戦に目を配って、それぞれが成功するようにコントロールしなければいけません。
片付けなら、全体の号令役が「机を並べる係」「椅子を入れこむ係」「パソコンを片付ける係」などの作戦状況をよく見て、互いに邪魔することなく時間通りに終わらせるように声をかけていく必要があります。
自分一人の作業でも、複数の患者の報告書作成それぞれが作戦で、それをどれも滞りなく進めていくようにコントロールする必要があるわけです。
4.戦術|各作業をどう行うか考える
ここまで来てようやく、それぞれの作業をどうやるのかを考える「戦術」の段階にきます。
リハなら、歩行訓練や構音訓練の実際のやり方が戦術。
さらに、書類の印刷なら「ホッチキスの使い方や留めかた」「画質の良い印刷のしかた」などが戦術、研修室の片付けなら「机の列の揃え方」が例えば戦術に当たるでしょう。
戦術は仕事の仕上がりに影響しますが、一方で、これだけを頑張ってやってもけっしてうまくはいきません。
5.実行|完璧を求めず、期限を最優先に!
さあ、1から4までを順を追ってやってきたら、あとは実行あるのみ!
どんなに完璧な仕事であっても、それが期限をオーバーしてしまっていたら、意味はまったくありません。
最低限のクオリティはどんなレベルであるのか、最初に目標を立てる時に決めてあるはずです。
その目標以上のものをやろうとせず、拙くてもいいから、早めに仕事を完成させてしまいましょう。
スケジュール管理については、レポート作成に関するこちらの記事に詳しく書いてあるので参考にしてください。
6.評価|「この方法でよかったかどうか」見直そう
仕事の進め方のなかで、あなたの成長のためにもものすごく重要なのが、この「評価」のプロセス。
立てた目標がちょうどよいものであったか、進め方に無理がなかったか、やるべき作業の抜けがなかったか、もっと良い作業のやり方はなかったか、必要な声のかけ合いができていたかどうか。
作った報告書や印刷物、片づけ終わった研修室などを確認し、冷静に、客観的に評価します。
片付け終了後にわたしの新人たちに評価をしてもらったところ、目標や戦略らしきものを見直してはなく、戦術レベルのふりかえりしかしていなかったんですね。
あなたが今仕事が終わらなくて困っているなら、ここまでのステップに忠実に、あなたのしている仕事を再評価して、次もう一度チャンスがあるならどうするのが良いのか考えてみるとよいでしょう。
7.報連相|全部やってからでなく、つど確認して!
よくいわれる「報連相」。新人もかならず「報連相に気をつけて…」っていいます。
でもね、口で言うほどみんなできていないんです。報連相。
報連相の失敗は「タイミングが遅い」ことにあり。
その原因はタイミングが遅すぎることにあるって思います。
ここはものすごく大事なところです。
上司や先輩には、やりかけでいいから、状況報告をしたり見せたりして!
不完全なものを見せるなんて申し訳ないので一通りやり終えてから…とあなたは思うかもしれないけれど…考えてみてください。
ギリギリまで一人で仕事をして「よしっできた!」と思って見せてみたら、実は指示されていたのとぜんぜん違うものだった、なんてことがあったら、もう取り返しがつきません。
そこまでやってきたすべての仕事がぜんぶ無駄。期限は結局オーバーしてしまうことになって、上司や先輩は「だから途中で聞けって言ったのに」とご機嫌斜めになることは間違いありません。
ミスを減らすためには、必ず途中での経過報告や、間違いがないかどうかの相談を行ってくださいね。
チーム内での声のかけ合いもしっかりして!
しつこくてごめんなさいですが、研修室の片づけで気になったことのひとつが、
仲間同士で声をかけ合っていなかったこと。
研修室の前と後ろでそれぞれ同じ作業をしていて、片方がやり方を変更しても、もう片方に声をかけないんですよね。
で、案の定時間内に終わらなかった、ということに。
一人ひとりの仕事の質が高かったとしても、声かけや連携がなければ、うまくいきません。
くれぐれも横を見渡して、声をかけ合うのを忘れないでください。
まとめ
新人療法士のあなたが楽に仕事を進めるための7つのステップをまとめました。
あなたの療法士としての技術はすぐには上達しないかもしれません。
それは経験も浅いのでしかたありません。
でも、仕事の進め方は、コツを掴めば効率を良くすることができます。
- 仕事が終わらないのは「進め方」を決めていないから。専門技術ばかり見て、進め方を考えないでいると、うまくいきません。
- どんな仕事をするときも、その仕事をどんな状態に仕上げることを求められているのか、目標を考えることが第一歩。
- 仕事の成功は、戦略がしっかり立てられているかどうかにかかっています。
- 戦略があってはじめて、それぞれの作業をどうやるかを考える「戦術」の段階です。
- 実行段階まで来たら、完璧を求めず、期限を最優先に!
- 次の仕事をよりよくするためには「この方法でよかったかどうか」評価しましょう。
- 「報連相」は早めにこまめに。チームで動くときは横の声かけも忘れずに。